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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.03:病院から帰って来て以来飼主を攻撃する。


★★相談内容★★

はじめまして。猫の凶暴化で困っています。4歳のマンチカン、女の子です。もともとやんちゃで活発で、遊んで欲しい時は甘噛みしてくるカンジの子です。7月27日(木)の夜くらいから、トイレばかり行くようになり、翌日はゲリもしていました。7月29日(土)に行きつけの獣医にみてもらい、レントゲン。幸い石はなく、持参したオシッコを見てもらったところ膀胱炎でした。膀胱炎のお薬と抗生物質の注射をしてもらい、お薬をもらって帰宅。

直後は落ち着いていたのですが、2時間くらいしたころ急に聞いたことない声でうなりだし、飛びかかって来ました。なんとかゲージに入れた所、ゲージが壊れるか、本人が怪我するかくらいの勢いであばれたのでまたゲージから出したら狂犬病の犬みたいに、ヨダレを撒き散らして襲ってきました。普段からリビングで生活しているので、仕方なくリビングを明け渡し、ひと晩過ごさせました。今朝になり、様子を見に行ったところまた飛びかかって来ました。とりあえずフードと水を替え、空調を調整して1人にしています。

すでに膀胱炎のお薬を飲ませる事なんてできず、ごはんは全く食べてないし、床にオシッコしていました。かかりつけの先生に電話したところ様子を見るしかないと言われました。不安で不安で、ネットでいろいろ調べましたが、そちらの病院で相談に乗っていただき、お薬の治療でよくなっているというブログを拝見しました。たった1日ですが対応が遅くて悪くなるのは避けたいのです。それでもしばらくは様子を見たほうがいいのか、何か投薬したほうがいいのかご相談させてください。よろしくお願いします。



★★助言内容★★

今回お問合わせのケースですが、膀胱炎の場合程度の差はあるものの下腹部痛の症状を伴います。病院を受診するにあたり、ケージに入れて移動したり処置や治療など体を動かされることでひどくなったその痛みと、その際の状況やそばにいた人間とが結びついてしまった(猫は病気が痛みの原因とは認識できないため、周りの人間や環境がそれをもたらしたと思ってしまう)可能性があります。

そのためケージに閉じ込められたり近づいたりしただけでまた痛い思いをさせられると勘違いし、自己防衛のための防御的攻撃行動に出たものと思われます。ケージから出ようと大暴れしたり、出してからもヨダレを撒き散らすなど自律神経の異常な緊張状態は強度のストレスが生じていた証であって、それほどの痛みへの恐怖が根底にあれば防衛本能のスイッチがいきなり入ることは十分考えられます。

ただし、多くの場合こういった攻撃行動は一過性であり、今回も膀胱炎の治療が功を奏して痛みが消失すれば再発の可能性は低いと思われますが、極端に臆病な猫で同じような状況が繰り返されたような場合は、特定あるいは不特定の人間への攻撃行動が一過性ではなく固定化されてしまう条件づけという現象が生じることがあります。

そうなってしまうと、当初の痛みがなくなっても人間が姿を見せたり近づいたりしただけでその刺激に反応して反射的に攻撃行動を示すようになり、放置しておいても改善されないばかりか威嚇や攻撃はさらに一層エスカレートすることになります。なお、これはすでに心の病気の範疇に含まれる問題行動であるため、然るべき行動治療が必要になります。

今回はひとまず膀胱炎の治療を続けられ、それが治癒して痛みの症状も消失したであろう後も攻撃行動が現れるのかどうか様子を見られてはいかがでしょうか。

ただし、治癒するまでは不必要な刺激を与えて攻撃行動を起こさせてしまってはいけないので、別室に隔離するなどして猫との接触は極力避け、抗生物質の投薬も餌の中に薬を混ぜて与えるなどの工夫が必要です。