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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.08:赤ちゃんに怯える。


★★相談内容★★

はじめまして○○と申します。お忙しいとは思いますがどうぞ宜しくお願い致します。知人宅に5才の避妊済みのにゃんこが居ます。飼い主さんが出産し、赤ちゃんが家族に加わりました。はじめは時々の、そそうだったのが、最近ひどくなったそうです。赤ちゃんが泣くとびっくりして飛び起きたり落ち着かなくなる様子です。

ニャンコが安定すると言われているフェリウェイの使用も考えています。そそうの改善、フェリウェイのメリット、デメリットについて、また赤ちゃんとにゃんこが仲良く暮らして行く工夫など、ありましたら是非教えてください。



★★助言内容★★

もともと環境への依存度が高くその変化を嫌う猫にとってみれば、自分が安心して生活していた環境中にある日突然かって耳にしたことのない不快な声を張り上げて鳴く(泣く)得体の知れない生き物が出現したわけですから、晴天の霹靂ともいうべき穏やかならざる事態が降って湧いたことで、情動的不安が生じていることは容易に推察できます。粗相はそれによる情動反応なので当人に罪はありません。叱ると更にストレスが高じて問題行動が一層エスカレートするのでお気をつけ下さい。

さて今後の問題として赤ちゃんとの共棲を如何に円滑に進めるかということですが、結論から言えば時間が解決してくれるのを待つというその一言に尽きます。不快な声を出す嫌なヤツではあっても、結果的に自分に危害を加える存在ではない(赤ちゃんがまだ小さくて動き回れないうちは)と確認できれば好きにはなれないまでも環境中の一要素として容認してくれます。要は猫の方で適当に相手の存在を無視するということです。

ただし気をつけなければいけないのは、猫は嫌悪条件づけといってある行動をとっている時に度々嫌な思いを経験すると、その行動自体を嫌悪して避けるようになることの多い動物です。たとえばそれに慣れるまでの間、トイレで排泄している時に度々赤ちゃんの泣き声に驚かされると、トイレで排泄するのを嫌いあたかも粗相したかのように別のところで排泄するようになることがあります。この場合は学習によるものなので、先に述べた情動反応による不適切な排泄と違い意識的な行動です。

できれば猫がその声に慣れるまでトイレや餌の容器などは、赤ちゃんの寝ている場所からはなるべく離れた声の届き難い、かつ人通りの少ないところに置くようにしてあげたいところです。また、その声に怯えたりした時に逃げ込める巣穴的な場所として、できるだけ人目につかない暗くて狭いたとえば押し入れの中などに寝床を確保してあげるのもいいと思います。赤ちゃんがハイハイしたり伝い歩きなどできるようになると、いきなり尻尾を掴んだりして猫には天敵ともいえる存在になりますので、その際にもこの対策は必要になりますので念のため。

フェリウェイについては、猫によってフェイシャル・フェロモンに対する感受性に違いがあるため、正直なところ実際に使ってみないと効くか効かないかは何ともいえません。ただし、効かないことはあってもそれだけのことで副作用のようなデメリットはありません。なお、効果がみられるとしてもそれは情動反応としての不適切な排尿行動やマーキングなどについてのみで、先に述べたような嫌悪条件づけによるものなど学習によって生じた行動には効果は期待できません。

猫と仲良くやってゆくための秘訣は猫の嫌がることはしない。猫の自主性にまかせこちらから何かを強要したりおしつけたりはしない。これに尽きますので、そのことを赤ちゃんが物心つくようになった時に教えてあげて下さい。当面は赤ちゃんにそれを望むのは無理なので、仲良くなれないまでも猫の方で天敵とは思わずに無視してくれればそれで良しとするしかありません。



★★相談内容★★

お早いお返事ありがとうございます。大変分かりやすく説明していただいてありがとうございました。早速飼い主さんへ伝えます。SAM CLINIC様のHPも紹介させて頂きます。