ノルウェージャンフォレストキャットの雄、6歳去勢済みです。2年前から突然本気の攻撃をしてくるようになりました。足に噛み付いてきて出血と内出血でひどい状態になります。同じ空間にいる夫には襲いかかったことはありません。3ヶ月〜半年に1度あるぐらいでこれまでに6、7回ほどあったのですが、はっきりとしたスイッチが分からず対策出来ていません。暴走した時はいつもの感じで声をかけて少しずつ落ち着かせたら元に戻ります。普段は大人しくて毎日甘えて膝に乗ってきます。
3年前に私が結婚して新居に引っ越し、その翌年に遠方の実家へ里帰り出産からまた帰ってくる、といっためまぐるしい環境の変化に付き合わせてしまい、ストレスを溜め込んでしまったのだと思います。それまでは病院でも大人しく出来ていたのに今では予防接種の際にお医者さんも苦戦するほど暴れてしまいます。
1番はじめに攻撃してきた時は2年前で、猫が私のお腹で寝ていた時に、別室で子供がベッドから落ちてしまう音が聞こえて私が慌てて起き上がって猫をどかしてしまいその時に驚かせたのがきっかけです。子供のことに必死でリビングに戻るといつもと様子が違い、襲いかかってきました。
攻撃する時のパターンとしては、朝ゴミをまとめて袋がガサガサいっているとき(いつもではありません、本当に稀に豹変します)、子供が頭をぶつけたりして本気泣きをしたとき、私が子供とじゃれてワッと驚かせていたとき、などです。怖がりな子なので恐らくびっくりした時にスイッチが入ってしまうのだと考えています。
はじめは子供と猫を同じ空間にいさせていたのですが、上記の時に子供を軽く攻撃してしまい危険だと思ったので今では全く接触させないように生活エリアを分けています。ですがこれから子供が大きくなってくると完全に離すことも難しくなりそうですし、かといって接触させるのは怖いのでどうしたいいか悩んでいます。
たくさんストレスを感じさせてしまったことを後悔しています。なんとか対処法、治療法があればやっていきたいと思っています。アドバイスを頂けると嬉しいです。長くなってしまい申し訳ありません、よろしくお願い致します。
猫さんに最初の攻撃行動が起きたのが2年前ということですが、元々臆病で物音に敏感であったりといった猫さんの気質次第では、確かにその同じ時期に猫さんの身に起こった相談内容にあるような著しい環境の変化が、あなたが危惧されているようにその行動に強く関与している可能性は非常に高いと思います。
すなわち、前年の新居への引っ越しによって生活環境が完全にリセットされてしまったことで不安を抱いた生活を余儀なくされていたところに、翌年にはあなたの出産に伴って妙な泣き声をあげたりする赤ん坊という未知の生物がいきなり出現したりしたことで、猫さんには強いストレスが生じていたであろうことは十分に考えられます。
そのようにストレスによって情緒が不安定になってしまうと、通常であれば問題にならないような刺激に対しても激しい情動反応が起きてしまうようになり、その結果興奮状態に陥って誰彼の見境なく攻撃的になった猫が転嫁性攻撃行動を引き起こすといったケースは少なくありません。
したがって今回のケースの場合も、猫さんの最初の攻撃行動についてはこれまでの経緯や状況などから見る限りでは、お子さんの立てた音やその声が一次刺激となったことで誘発された転嫁性攻撃行動である可能性が最も疑われます。ただその後も繰り返されている攻撃行動がそれと同じタイプのものであるかどうかまではわかりません。
なお、転嫁性攻撃行動では意図的に特定の相手だけを狙って攻撃したりはしないため、猫さんがあなたを攻撃した時そばにご主人も居て手を出したりもしているのにあなたしか攻撃されないというようなことがあれば、転嫁性攻撃行動は否定的で別のタイプの攻撃行動である可能性が強まります。
いずれにしても、何が猫さんを攻撃的にさせているのかその原因を明らかにしなければ対応の取りようがありません。それをするには詳細な問診によって攻撃行動のタイプを特定し診断を確定する必要がありますが、そこに到ってはじめて行動修正のための治療法の選択が可能となることで、改めて問題となっている攻撃行動への適切な対応が取れるようになるわけです。
そのように攻撃行動などの問題行動の場合でも、種々の疾患と同様診察も診断もせずに処置や治療を行うことはありえませんので、推論や一般論に基づいた仮定的なアドバイスではなく実態に即した対処法や治療法をご所望であるならば、改めて正式に行動診療を受けていただく必要があります。