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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.104:カーテンレールに脚を引っ掛けてから威嚇が始まった猫


★★相談内容★★

3歳のマンチカン♀を室内で飼っています。生後すぐにペットショップからきました。先月あたり1度うちのカーテンレールに足を多分ひっかけてしまいひどく怖がり、激しく威嚇をしました。そのときはかなり威嚇していましたがその日中に落ち着いたのですが、その日を境にちょっとしたことで威嚇をしてくるようになりました。

威嚇するときに一貫性がないように思われ、原因がわかりません。最近変わったことといえば、0歳の子供がうまれたこと、それに伴い祖母もしばらく一緒に暮らすようになったことです。特にこの祖母に威嚇のときは反応しているように感じられます。

念の為祖母に寝留まりしてもらっている部屋が、昔マンチカンの子も出入りしていた部屋だったので、部屋をとられたような気持ちになり、嫌なのかとも思い解放するようにしてみましたが、いまいち原因がわかりません。

威嚇してるとき怖くてどのように対応したらいいかわかりません。2歳、0歳の子供がいるので、子供に危害を加えないかがとても心配です。往診でうちに来ていただいて、部屋環境など指導いただくことも可能なのでしょうか。よろしくお願いします。



★★助言内容★★

猫さんがカーテンレールに脚を引っ掛けた際、咄嗟のことで何が起こったのか瞬時には理解できず、驚きのあまり急に何かに襲われたかのように錯覚してしまったかも知れませんね。その結果、その出来事が刺激となって一気に恐怖や怒りなどの情動的反応が起こり、それによって猫さんが攻撃的な興奮状態に陥ってしまった可能性があります。

その直後に見られた猫さんによるあなたへの威嚇は、攻撃にまでは至ってはいないもののその興奮状態による攻撃の矛先がたまたまあなたに向けられてしまった、いわゆる転嫁性攻撃行動(ほかの相談事例に詳しく解説しているものが多数ありますのでそれをご参照ください)が原因だろうと思います。

とは言え、その出来事を境に度々起きるようになった威嚇については、当初猫さんを攻撃的な興奮状態にさせた当時と同じ刺激に今も晒されるようなことがないかぎり、その時の興奮が未だに続いていたりそれを引きずることは考えにくいため、その後の威嚇は最初に起きた転嫁性攻撃行動が疑われる威嚇とは別のタイプのものである可能性が高いと思います。

なお、それが起きるきっかけには一貫性がなくおよそ特定できないということですが、猫さんが生活環境中に何らかの慢性的ストレスを抱えるなどしていて、情緒的混乱を来すような精神的な安定を欠く状態であった場合には、些細な刺激であっても強い不安や恐怖による情動反応が引き起こされそれが突然の威嚇となって現れたとも考えられます。

ただしそのような背景の有無を知るためには、猫さんの生活環境の詳細や飼い主の方及びご家族と猫さんとの関わり方など、その心理面に影響を及ぼすことの多い事項に関して出来る限り多くの情報を収集して分析する必要があります。今回のケースではお祖母さんや赤ん坊といった新しいご家族の情報は原因究明の重要な鍵になるかも知れません。

ともあれそのような情報を含め詳細な問診等を行わないと威嚇の真の原因はわからず抜本的な対応はできませんが、とりあえず威嚇が起きてしまった場合は応急処置としてすぐに猫さんのそばから離れ、威嚇しなくなるまでは無用な刺激を与えないため一切の交流を断つようにします。威嚇では終わらず攻撃してきた場合は、誰もいない部屋に猫さんを隔離して上と同様の対応をするようにしてください。

なお、そのような対応だけで済まさずに原因を明らかにした上で行動の修正を望まれる場合は、改めて正式な受診をご検討ください。ご希望の往診による出張カウンセリングも承っています。