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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.31:突発的に飼主を攻撃するようになった。


★★相談内容★★

1歳4ヶ月の黒猫のメスです。10月に避妊手術をしました。11月18日に母が家に泊まりに来て、その時に母をすごい鳴き声を上げて攻撃しました。おしっこやウンチも漏らしてました。母が帰った後はいつもの様子になったので、知らない人が入って来たから怖かったんだと思ってました。

12月3日に、出かけようとした私にテレビの裏からすごい鳴き声を出して飛び出して私の手に噛みつきました。おしっこももらしてました。その後もずっと威嚇して興奮してました。病院に連れて行き注射を打ってもらい飲み薬ももらいました。発作のようなものだという事でした。その後は威嚇はたまにしますが攻撃してくることはなくなりました。

でも、今月19日の夜旦那と2人でコタツに入ってたらまたテレビの後ろからまた唸り声をあげながら、私と主人に攻撃して来ました。どうにか閉じ込めて、翌日の朝には落ち着いてました。病院に相談したら、薬を飲ませてテレビの後ろに入れない様に対処して下さいと言われました。

ですが20日の夜中に私が目を覚ますと唸り声をあげながら部屋の中をウロウロして、まるで猛獣の様でした。朝にはまた治ってました。昨日も主人が出張から帰ってくるとまた、旦那を威嚇して攻撃する意気合いで追いかけて行きました。座っていると平気なのですが、立ち上がると威嚇して来ます。なので、朝は部屋に閉じ込めて、仕事に出かける時に出してあげてます。

目も開いていない赤ちゃんの時から世話をして来たので、見捨てられないし、今後どの様にして行ったらいいかわかりません。家に帰るのが恐怖です。



★★助言内容★★

今回見られた攻撃行動のうち二つのケースについては失禁や脱糞といった情動反応を伴っており、何らかの激しい恐怖反応が引き金となって生じた行動であることが強く示唆されます。

とは言え、猫が何かが原因で人に対して恐怖を抱いたとしてもまずはその場から逃げ去るのが普通であり、それがあえて恐怖の対象を攻撃するのは、あくまでもその相手が臨界距離内まで接近し追い詰められたと感じた場合に限られます。いわば自己防護のための行動だからです。

それがご主人に向けられたような相手を追いかけてまでして攻撃する行動や、それが収まると何事もなかったかのように威嚇や攻撃の気配すらない様子からは単に恐怖だけでは説明がつかないため、何かほかの要因もしくは複数の要因が絡んだ複雑な背景があるのかもしれません。

さらには、今回のケースでは行動の出現が突発的でかつ反復的であることから発作性の疾患が潜在している可能性も否定はできません。例えば、猫では精神運動性てんかんなどが原因での攻撃行動も報告されていますので、そう言った器質性疾患の存在も疑ってみる必要があります。

なお、それとは別に今回かかりつけの病院で処方された薬剤が一連の攻撃行動に何らかの影響を及ぼしていないか、念のためその点についても考慮する必要があるかもしれません。

それは鎮静目的で向精神薬などを用いた場合、薬の種類によっては時として意に反した突発的な攻撃行動や周期的な興奮を引き起こすものもあり、ほかにも脱抑制効果によって敵対行動や攻撃性が亢進したり逆説的な興奮性が見られこともあるためです。

いずれにせよ、今の事態を改善するにはまずは飼主の方への問診によって得られる詳細な情報を分析評価し、問題行動の原因を明らかにすることが先決です。それがなされないままに対応を誤ってしまうと状況はさらに悪化します。そうなる前にできるだけ早く専門医を受診されるようお勧めします。