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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.44:子供を突然威嚇攻撃し始めた


★★相談内容★★

3歳のペルシャ猫(メス)について相談させていただきます。子供(8歳)に対しての威嚇、攻撃で困っています。3日前の夜にブラッシングして抜けた毛を子供が触って、それを猫の鼻に近づけた時に急変し、凶暴化しました。低いうなり声を出しながら、シャーと威嚇し、少しでも動こうものなら飛びかかってくる勢いでした。20分程、どうにもできず猫も子供もお互い叫び合う状態が続き、私がおやつでなんとか気を紛らわし、子供をお風呂に入れて少し距離を取りました。

お風呂から出ると少し落ちついように感じたのですが、私の足にじゃれついてきたときに、またスイッチが入ったのか、うなり声を出しながら子供を追いかけだしました。私が子供を抱き抱えて移動しようとすると威嚇しながら私の足を思いっきり攻撃してきました。その後大きな布で猫の視界を遮り、子供を見えなくさせた隙に子供は寝室に行きなんとか落ち着きました。

その後数日経ちますが、猫の方も不安が残っているようで、威嚇まではいかないものの、子供の動きを常に監視している状態です。いつまたスイッチが入って攻撃的になるか分からず、不安です。今はなるべく近づかない、目を合わせない、側を通るときはゆっくりとするといったことに気を付けていますが、子供もかなりストレスがたまっています。恐怖心もあります。

今までも、わりとすぐシャーシャー言う猫で、知らないひとが来ると低く唸ったり、威嚇することはよくありました。家族にもわりとすぐにシャーと言ってましたが、追いかけてまで攻撃的になることはありませんでした。私に対してはすごく甘えん坊で、ご飯も食べさせて欲しい、お水も飲ませて欲しいというくらいです。このままでは子供と猫の二人っきりにはできません。どうしたらいいでしょうか。長文になり大変申し訳ありませんが、よろしくお願いします。



★★助言内容★★

一般に唯我独尊の猫の多くは概して幼児や子供が好きではありません。その理由は、いきなり何をしてくるかわからないため油断できない。ものの分別がつかないため猫が嫌がることを平気でしてくる等々ですが、おたくの猫さんの場合もそれがあるかもしれません。

普段子供さんが猫さんにどのように接しているのかがわかりませんが、今回見られた攻撃行動は突発的な恐怖などによって引き起こされたものではないように思えます。というのも、猫さんの突然の凶暴化が子供さんの急な振る舞いに恐怖を覚えたための恐怖性攻撃行動のようなものであれば、一般的にそれが起こるのは追い詰められて逃げ場がないといった場合に限られ、まずはそうなる前に自分から逃げ出します。

言ってみればそれはあくまでも受動的な攻撃行動であって、今回のように相手を追いかけてまでして攻撃することは普通あり得ません。それが見られたということはこの行動が自発的で積極的なものであることを物語っていますが、普段から猫さんが子供さんの振る舞いに嫌悪感や不満感を抱いており、その慢性的な刺激に晒され続けてストレスが高じていたところに今回のことがきっかけとなり、その情動が攻撃的な形を伴って一気に噴出したということであればあり得ます。一種の自己主張性攻撃行動です。

なお吉田さんへの攻撃はそれとは違い、子供さんを攻撃しようとしてそれを遮られたことによる転嫁性攻撃行動かと思われますので、別に分けて考える必要があるでしょう。

子供さんに対するケースでは、猫さんの中では子供さんイコール嫌悪や不満を生じさせる反応刺激として条件づけられてしまっているため、何をするわけでもなく単に目を合わせるなどしただけでも、子供さんの存在自体が刺激となってそれに反応してスイッチが入り、攻撃行動が引き起こされるようになったりします。それを治療するためには、脱感作や拮抗条件づけといった手法を用いた行動修正が不可欠です。

ただし、この相談にある情報だけでは基本的にそれが原因であると断定することは困難ですので、当然ほかの原因による攻撃行動も否定はできません。ただどのような攻撃行動であれその多くは放置すれば事態は悪化しますのでので、まずは類症鑑別としてかかりつけの動物病院で行動変化を起こし得る身体的疾患の有無を診てもらい、そのうえで早々に行動診療の専門医を受診されるようお勧めします。

それまでは、不測の事態を避けるため子供さんと猫さんとが接触しないよう、別室やケージを用意するなどして猫さんだけを隔離した方がいいと思います。



★★相談内容★★

返信いただきありがとうございました。先生のおっしゃる通り、子供=攻撃対象になっていると思います。やはり一度カウンセリングをお願いしたいと思います。改めて予約の申し込みを致しますのでよろしくお願いします。