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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.47:後から家に迎えた子猫と飼主を攻撃する先住猫


★★相談内容★★

こんにちは。はじめまして。3歳の避妊済み女の子、黒白ハチワレ。6ヶ月の去勢済み男の子、黒猫についてのご相談です。今から4か月前に知人より黒猫を貰い受けました。九州から奈良までの長旅だったので、着いてすぐにリビングで出してしまい、先住猫と顔を合わせてしまいました。当たり前のごとく先住猫は威嚇し、怒りました。でも黒猫はまだまだ小さいので、つい黒猫を庇ってしまいました。

その後二階の先住猫もお気に入りだった部屋で黒猫を飼う事になりました。ゲージもご飯もトイレもその部屋です。その部屋で社会人の息子と寝ています。先住猫は私と寝ます。先住猫は怒るけど、なんとか仲良くならないものかと、まだ幼くて何もわからない黒猫をリビングへ連れて行き、顔を合わせましたが、やはり先住猫は凄く威嚇して怒りました。その時は小さな黒猫を庇ってしまっていました。ある夜、リビングに先住猫、黒猫、息子があるおり、二階へ上がろ うと息子が黒猫を抱っこした瞬間に先住猫が息子の足に噛みつき、流血騒ぎになりました。

それからです、先住猫が凶暴になったのは。黒猫の匂いがするといってはかみつき、引っ掻き、大騒ぎです。二階に黒猫と居る時に先住猫が入れて欲しいとあまりに鳴くから、可哀想になって入れてやると黒猫を襲い、黒猫は隙間に逃げ込みますが、先住猫は側にいる人間に噛みつきます。先住猫を部屋に入れる時は黒猫を隠し、人間は毛布などで完全防備です。先住猫は臭いを嗅ぎまわり、今までトイレは完璧だったのにあちこちでオシッコするようになりました。

そんな先住猫が息子は怖くなり、先住猫が嫌いなコインを投げて退散させるようになりました。コインの音が嫌いなのです。それからは先住猫は息子にも威嚇、噛み付くようになり、息子はますますコインで退散させるようになりました。なるべく2匹を合わさないようにはしていますが、会ってしまった時は黒 猫は逃げながらオシッコを漏らし、追い詰められるとウンチをしてしまいます。そんな時は黒猫を助けるため、私もコインを使って追い出します。二階の部屋の前で先住猫がいる時もコインで追い払います。

本当はそんなことはしたくないです。可哀想ですから。でもおそいかかりますので。先住猫はそんな時は私の足をひと殴りします。このような状態、一生続くのでしょうか?こんな事になるなら黒猫を引き取らなかったらよかったかな?と後悔したり。どちらの猫も不幸にしてしまったんじゃないかと悩んだり。

家族は3人です。昼間は留守になる事が多く、そんな時は黒猫は二階の部屋に閉じ込めて、先住猫は自由にしてにます。先住猫は私のベッドで寝ますので、黒猫は私の寝室には絶対に入れません。お風呂も先住猫だけに声をかけて、一緒にお風呂です。お風呂の蓋の上にで寝ます。そんな時は昔のままの可愛い猫です。でも黒猫には別人になってしまいます。どうすればいいのでしょうか?何かアドバイスあればお願いします。長文になり申し訳ありません。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。



★★助言内容★★

お返事が遅くなりましたが、現在の状況はご家族3人と猫さん2匹が問題行動に関する出口の見えない悪循環のループにはまり込んでしまい、その中でグルグルと堂々巡りを続けているような状態だと思われます。

その核心となる先住猫さんに見られる攻撃行動も、当初の対応を誤ったことで縄張り性攻撃行動をはじめ転嫁性攻撃行動や自己防御性攻撃行動、マーキングによる守勢的攻撃行動など多様なパターンが出現し複雑を極めているように見えます。

その背景には、今のままでは決して適切とは言えないご家族の対応の仕方などもあって先住猫さんには強い環境ストレスが生じており、それがための日常的な不安が先住猫さんの情緒を不安定にさせ問題行動の複雑化もしくは悪化を招いていることは否定できません。放っておけばそれは今後も続くでしょう。

そのためこのままでは先住猫さんとその攻撃に晒され続けている後から来た猫さんとの関係が完全に崩壊するばかりか、それに派生した別の攻撃行動がきっかけでご家族と先住猫さんの双方にも警戒心が生じるなどして以前のような交流は望めなくなります。

今後この状態を改善し猫さん達とご家族が平穏な暮らしを続けられるようにするには、こういう時にはこう対処しなさいといった場当たり的なその場しのぎの方法でそれを達成することは概ね困難であり、抜本的な環境修正をはじめとする先住猫さんと後から来た猫さん双方に対する適切な行動修正プログラムに基づいた再学習のプロセスである行動治療が必要不可欠です。

したがって状況がさらに悪化し収拾がつかない事態になる前に、そういった治療を行なっている当院のような行動診療の専門医を受診することをお勧めします。それまでの間は不必要な刺激を与えて事態をこれ以上こじれさせないようにするため、最低限先住猫さんと後から来た猫さんとは一切接触させないようにすることはもとより、お互いが相手の姿を見ることすらないように完全に隔離しておくことです。



★★相談内容★★

お返事ありがとうございました。そうなんですね。一番最初の出会わせ方が間違ったらこんな事になるのですね。それと私達家族の対応が間違っていたのですね。先住猫には可哀想な事をしてしまいました。相当なストレス。新参猫も攻撃されてストレス。悪循環のループを切るにはどうしたらいいのか、本当にわかりません。専門医もネットで探してみましたが、見つからずです。どちらかを手放すしか方法はないのでしょうか。今しばらくはこのまま様子をみます。ありがとうございました。