病院ロゴ
病院ロゴ
猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.57:去勢手術後に家人を威嚇攻撃し始めた。


★★相談内容★★

初めまして。藁にも縋る思いで相談させていただきます。うちの子はスコティッシュフォールドのオス、3歳です。生後3か月から飼っています。去勢済みで、立ち耳のとても可愛い白猫です。1歳半、去勢手術を終えてしばらく経った頃、ある日を境に母親に対して物凄い勢いで威嚇行動をとるようになりました。(低くうなり、シャーっという鳴き声の後ひっかく攻撃)何かトラウマを与えてしまうような怖いことがあったのか母に尋ねましたが、普段通り過ごしていたのに急に怒った、とのことでした。

それからしばらくして今度は父親と私にまで威嚇するようになり、獣医さんを家まで呼んで、猫を捕獲しケージに戻してもらう事態となりました。そして「もしまた急に威嚇されたらどうしよう、ケージに入れられなくなったらどうしよう」という不安と恐怖から、いよいよ可愛い飼い猫をケージから出せなくなってしまいました。

私に対してはトイレを替えるときに威嚇してきたことがきっかけだったので、猫から見えないところで替えるようにする等、工夫してみたのですが効果はありませんでした。当時のかかりつけの病院に相談しに行きましたが、「飼い主にも触れないような動物を診ることはできません。施設に引き取ってもらうしかないでしょう」と心ないことを言われ目の前が真っ暗になりました。

もうそれからずっとうちの子はケージの中で生活しています。三段ケージと一段ケージを組み合わせ、仕切りを作り、トイレを替えられるように改良し、爪とぎを取り付け、充分広いゲージにしてあります。おもちゃも入れてありますし毎日ケージの外から撫でています。ワクチンと健康診断は往診で何とかなっています。ケージの中の鳴き声を聞く度に、ケージから出して、子猫のときのように抱っこして撫でてあげたいと心の底から毎日思います。それでも威嚇行動を思い出すと足が震えて勇気が出ません。猫が悪いのではなく私が悪いのだと強く思います。一生このままでは絶対に嫌です。ゆっくりでもいいので何とか克服して、また部屋の中を自由に歩かせてあげたいです。何か方法はあるのでしょうか。よろしくお願いいたします。



★★助言内容★★

猫の攻撃行動とは、猫が他者に対して威嚇したりその爪や歯牙を使って危害を与える行動のすべてを指しますが、それらは基本的な機能の違いや臨床的特徴などから様々なタイプに分類されます。また攻撃行動は必ずしもすべてが病的な行動とは限らず、本来正常な猫の行動の一部であることもありますが、その行動が問題となった場合にどう対処すべきか、その方法は攻撃行動のタイプによって違ってきます。

今回の猫さんのケースについては、攻撃する際に唸ったり鳴き声をあげるという記述内容からみて、普通は無言で行う捕食性攻撃行動やその擬似タイプである遊び関連性攻撃行動は否定できそうですが、その他の攻撃行動の可能性についてはそれを推定できる情報がほとんどありません。したがって、推定に基づく攻撃行動のタイプを特定できないため残念ながら今後の対応方法についてのアドバイスはできませんのでご了承ください。

なおご家族への攻撃が続いている間に限り、一時的に猫さんをケージに隔離しその攻撃を回避するのは、緊急避難的措置としてとりあえず取るべき最善の方法ですが、これを長期わたって続けることは猫さんにとっては拘禁されたに等しく、生活環境としては最悪です。今後猫さんを一日も早くケージから解放してあげるためには、今回の攻撃行動のタイプを特定するとともに、それを引き起こした原因が何であるのかを明らかにして適切な対応策を講じる必要があります。そのためには早い時期に当院を正式受診され、カウンセリングを受けることを強くお勧めします。