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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.73:先住猫が新参の仔猫をなかなか受け入れない。


★★相談内容★★

初めまして。子猫を威嚇する先住猫のことでご相談させてください。先住猫は1歳のトンキニーズの雌です。神経質でびびりーな猫ですが、飼い主にはとっても甘えん坊です。新入りは生後3か月のロシアンブルーの雌の子猫です。人見知りをしない遊び好きのとっても元気な子です。子猫を受け入れてから3週間経ったのですが、先住の威嚇が全く止みません。新入りの子猫は最初の対面で一度だけ威嚇しましたが、それ以降は一切威嚇しないので、子猫の方は問題ありません。

私が行った先住猫と新入り猫の対面のさせ方を説明させていただきます。まず、子猫の隔離部屋を用意し、そこから出さないようにしました。数日間はドア越しに気配を感じられる程度で対面をさせました。続いてドアの隙間を数センチ開けて対面させるようにしたところ、先住猫が激しく威嚇し始めました。威嚇した後は別の所に逃げていきます。続いてケージ越しの面会にも挑戦しましたが、そもそも先住が新入りのいる隔離部屋にあまり入ろうとしませんでした。

先住猫があまり隔離部屋に近づかないため、先住猫の縄張りであるリビングに子猫をキャリーバックに入れて連れてきて対面させるようにし、それを1回30分くらいで1日2回行うようにし、一週間経ちました。キャリーバックの周りで先住猫におやつをあげたり、おもちゃで遊んだりしていいイメージを持たせようとしていますが、新入りに警戒してあまり遊んでくれません。

現状としては、子猫のキャリーバックがリビングにあると、先住は落ち着かないようにリビングをうろうろ歩いています。時々キャリーバックに自分から近づき子猫を激しく威嚇し(攻撃する素振りも見せる)て離れていくといった感じです。2メートルくらいキャリーバックから離れていれば、おやつも食べるし私と少しは遊ぼうとします。また、子猫を撫でた手で先住を撫でても怒らないので、匂いに対しては大分慣れてきたようですが、自分の縄張りには入れてなるものか!という雰囲気を感じます。

こんな感じで新入り猫を迎えてから3週間経ったのですが、先住の方にあまり進歩が見られません。そこで質問なのですが、今のような感じでキャリーバック越しの対面を続けて慣れさせる感じでいいのでしょうか?それとも、何か別の方法に変えた方がいいでしょうか?また、先住の威嚇が一向に改善しない場合、いつの段階で先住と新入りを直接対面させればいいでしょうか?(いつ新入りを隔離部屋から自由に出入りできるようにすればいいでしょうか?)先住猫が子猫を攻撃してけがをさせるのではと心配です。

まだ3週間しか経っていないという考え方もありますが、猫同士の関係がこれ以上悪くなる前に、私が行っている対面のさせ方が問題ないか、アドバイスを頂ければと思い相談させていただきました。お忙しいところ誠に恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。



★★助言内容★★

先住猫さんの場合、1歳といえばまだ縄張り意識が強まるような年齢でもない遊び盛りの若猫であり、本来なら新入りの仔猫は格好のおもちゃであり遊び相手になるはずなのですが、残念ながら幼猫時の環境によるものでしょうが、ほかの猫に対する社会化が出来ていないのでしょうね。

そんな先住猫さんに仔猫を受け入れさせるにあたって相手の存在に慣れさせるため、ドア越しやケージ越しに対面させたりキャリーバッグを使って対面させるといった点についてはとくに問題ありませんが、こと具体的な対面のさせ方やそれを進める手順については一考を要します。

というのも、意図的であるなしは別としていきなり両者を至近距離で対面させてしまったりしているため、しばしば先住猫さんが仔猫に強く反応して威嚇行動が引き起こされてしまっているようですが、こういった事態は絶対に避けなければいけません。

そのためには相手の存在は認識していても、それに刺激されて威嚇反応を起こしたりしない一定の距離を常に保つようにしながら、少しづつ距離を縮めてゆくことで段階的にその刺激に慣らしてゆく必要があります。

すなわち、現状では両者の距離が2メートル以上離れていれば威嚇反応は起こらないようですので、とりあえず今後もそのような環境要件が満たされることを前提とした上で、最も推奨できる方法を以下に示しますので参考になさってください。

まずはその距離が保たれていてお互いに相手が見える場所に両者の餌入れを置くようにします。そこで同時に餌やおやつを食べさせることを一日数回、更にそれを数日間繰り返すようにします。その際には、突然両者が相手に近づいてしまうといった不測の事態を避けるため、ハーネスとリードをつけるなど自由行動を制限することが必要です。

更に次のステップでは両者の距離を少しだけ縮めるため、お互いの餌入れを置く場所を10〜15cmほど近づけるようにして同じことを繰り返します。これを根気よく続けることで、最終的に先住猫さんが仔猫と並んで餌を食べることができるようになれば受け入れは成功です。

なお、その間先住猫さんが仔猫に反応して威嚇したり警戒して餌を食べなかったりした場合は、必ず前のステップに戻って(餌入れの置き場所を離す)やり直します。要は一旦仔猫に反応してしまった場合は、決してそのまま続けてはいけないということです。

そのような仔猫による刺激が繰り返されてしまうと感作という非連合学習プロセスにより、相手に慣れるどころか先住猫さんの仔猫に対する反応が益々強まり、威嚇だけでなく激しい攻撃行動を引き起こし兼ねませんので呉々もご注意ください。

なお、それとは別にお互いの匂いを共有させるようにするため、両者の顔周りや肛門周りを手や布などでマッサージした後に、それを相手の体にこすりつけるのも警戒心を弱める上では有効です。


★★相談内容★★

お忙しい中早速のご返事をいただき誠にありがとうございます。先住猫ですが、ブリーダーさんのところで生後3か月までは他の猫たちと生活してきました。ただ、家に来てからは10か月間他の猫と一切会っていません。また、ブリーダーさん曰くその子は人間は大好きだけど他の猫はあまり好きではないかもしれないということでした。

そんな中で、最初の子猫との合わせ方を大失敗してしまったかもしれません。慎重に行くべきところを、2頭の相性を見たいがために新入りが来て2日目にいきなりキャリーバック越しに近距離で合わせてしまいました。その時は先住猫は威嚇なしで近づいてきて新入りの匂いを嗅ごうとしたのですが、新入りがまだ家にも慣れていなかったため威嚇してしまったのです。そこで先住の新入りに対してのイメージ及び他の猫に対してのイメージが最悪になってしまったのかもしれません。なのでこれから少しづつ、先住の新入りに対するイメージを良くしていこうと思います。

やはり先住が威嚇している状態を放っておくのはいけないのですね。威嚇をするのを放っておいて威嚇が少なくなるのを待つか、威嚇をしない状態の時間を少しづつ伸ばして行くのとどちらの方法がいいか悩んでいたので、先生のアドバイスはとても参考になりました。しばらくの間は匂い交換とキャリーバック越しの対面を続け、威嚇しないことを確認しながら先住と新入りとの距離を少しづつ縮めていきたいと思います。

キャリーバック越しが大丈夫になったら、ご助言頂いた通りに距離を少しづつ縮めながらの餌やりを繰り返していこうと思います。ただ、うちの先住猫の難しいところが食べムラがあるため餌でなかなか釣れないところです。餌やおやつを出してもすぐには食べてくれず、気が向いたときじゃないと食べてくれません。 なので、新入りと先住に同時に餌を食べてもらうのは難しいかもしれません。食べてくれなかったら、遊ぶなりかわいがるなりしてご機嫌を取っていいイメージを作っていければと思っています。

しばらくして改善がないようであれば、今度は有料相談で詳細にご相談させていただければと思っております。その時はどうぞよろしくお願いいたします。今回は本当にありがとうございました。