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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.79:保護した仔猫をかまうと先住猫に攻撃される


★★相談内容★★

猫を8匹飼っていたのですが2ヶ月前に子猫を保護し、その子が8匹と相性が合わずに違う部屋で1匹でお世話しているのですが、一番最初に家族に迎えたロシアンブルー現在6歳去勢済みとだけ仲良く遊べるため、子猫の部屋にロシアンブルーを入れて2匹一緒に生活させていました。子猫は元気よく遊び回りロシアンブルーは昔から静かな性格で面倒みがいいのですが、ふんだりけったりで子猫にこねくり回されていました。ただ喧嘩もなく毛づくろいしたり一ヶ月間何事もなく生活していました。

ある日、子猫の部屋に隣の部屋にいる避妊済みのメス猫がはいってしまい、子猫に襲いかかろうとしてたので、抱きかかえたところ、いきなりロシアンブルーが飛びついてきて大喧嘩になりました。そのときはいつも一緒にいる子猫を守ってくれたのかな?と思いましたが、その喧嘩が終わり数時間後、私が子猫と遊んでいて子猫を抱きかかえた瞬間、私に向かってロシアンブルーが襲いかかってきて大怪我をしました。かわいそうですが子猫に襲いかかったらひとたまりもないのでトイレに閉じ込めて寝てもらいました(私をみると悲鳴のごとくヴァーと泣き叫び脱糞失禁をします)。時間もたったし落ち着いたかなと思い8匹の部屋にもどしたら喧嘩もなくご飯も食べてました。換気のために子猫を8匹の部屋にうつして、成猫たちの手の届かないとこで日向ぼっこさせて、掃除も終わり、さて子猫を部屋に戻そうと抱っこしたらまたモモンガのように飛びついてきて噛まれました。

このロシアンブルーは昔から短気で若い頃は病院でシャーシャーいって結構手のかかる猫でしたが、誰かに襲いかかったり牙をむくような子ではありませんでした。確かに人に甘えたりはしないですが私には子供のように甘えてきて可愛い子です。猫にはすごい優しいです。避妊してないメス猫が何匹かいて、メス猫がロシアンブルーを探し回るため、それが嫌なのかカーテンの後ろに隠れたり独りぼっちになりたいような感じは日頃ありました。子猫と一緒にして、遊びの延長線で蹴られたり甘噛みされてそれがストレスになり、爆発してしまったのでしょうか…。他に隔離できる部屋はもうないですし、いくら愛してる家族といて恐怖が芽生えてしまいます。どうかよろしくお願い致します。



★★助言内容★★

これまでの1ヶ月間の両者の交流の様子から見る限りでは、おそらくロシアンブルーの猫さんにとって新入りの仔猫は殊更に思い入れや愛着の強いお気に入りの存在になっており、最初はその仔猫に危害を加えようとした雌猫への怒りから相手を攻撃したのがきっかけで喧嘩が始まったのでしょうね。

それに対しその数時間後のあなたへの攻撃行動については、一見すると猫さんの雌猫との喧嘩による興奮が冷めやらないまま、その怒りや攻撃の矛先があなたに向けられてしまった転嫁性攻撃行動ととれなくもありません。しかしその後に攻撃された時の状況と考え合わせてみると、それはいずれもあなたが仔猫を抱きかかえるなどした時に決まって起きています。

そこから見えてくるのは、猫さんのあなたに対する一連の攻撃行動は、先の転嫁性攻撃行動のように最初に猫さんを興奮させ攻撃的にさせた原因(雌猫との喧嘩)が別にあり、その攻撃が無関係なあなたに転嫁されたというようなものではなく、あなたの行動そのものが原因で猫さんを攻撃的にさせた可能性が高いということです。

それは言ってみれば最初に雌猫が攻撃された状況と同じであり、おそらくは猫さんからすれば仔猫が危険にさらされていると思っただけで反応し、即座に攻撃行動が起こってしまったのでしょう。そのような時の猫さんには、仔猫に対してあたかも生活資源を守るのと同じような意識が生じているかも知れませんね。その意味では縄張り的攻撃行動に近いと言えるでしょう。

単に抱きかかえただけの行為が仔猫に危害を及ぼすように見えるのかという疑問もあるでしょうが、雌猫が仔猫を攻撃しようとしたことが猫さんの警戒心を高めてしまったのでしょう。少なくとも当面は猫さんの前で仔猫にちょっかいを出したり間に介入したりするのは、それだけで猫さんの攻撃的な行動反応を誘発する刺激となりますので避けた方が賢明です。