No.07：地震による恐怖反応。
★★相談内容★★
はじめまして。２００２．３．９生まれの雑種メスです。さかりの時の様に鳴くのですが、毎日２４時間ひっきりなしに鳴いています。前に脳の興奮した状態が普通の猫より敏感だと言われた事があります。精神的なものなのでしょうか。
★★助言内容★★
あなたの質問内容は、言ってみれば「３０歳の日本人の女性が、毎日２４時間ひっきりなしに男性を求める時のような声で叫んでいますが、これは精神的なものなのでしょうか」と聞いているようなものです。常識的に考えれば、どんな専門家でもこれだけの情報でこの質問に答えを出すことは不可能だということがご理解いただけると思います。すなわち、過去から現在の至る様々な経緯とか、おかれている環境とか、当人の健康状態等々この行動の背景となる部分が皆目わからない以上どんな解釈でもできるわけで、それは裏を返せば何もわからないということにもなるわけです。
たとえば、これがある病院の精神科病棟での話ということであれば精神的なものを疑うだけの根拠はあるでしょうが、舞台公演がさし迫った女優の自宅での話ということになると、精神的なものとは一切関係なく単に芝居の稽古で声を出しているだけかもしれないというように、前提条件が変わるだけで全く違った解釈が成り立ってしまうわけです。したがって、適切な回答をさせていただくには情報が不足しています。なお、前に言われたことのあるという「脳の興奮した状態が普通の猫より敏感だ」という部分は意味不明で何のことやら理解できないため参考になりません。
★★相談内容★★
お忙しい中お返事いただき有難うございました。説明不足でした。２００２年に生まれ、３ヶ月後に震度５、その１ヶ月後に震度５、さらに１ヶ月後に震度５の地震で臆病になり、けいれんを何度かおこして病院で注射をしました。その際先生から脳波が一定を超えたりしたのでけいれんを起こすと言うことでした。今日、震度５強の地震で鳴かなくなりおとなしくなりました。とりあえず経過を見ようとおもいます。
★★助言内容★★
過去にたて続けに大きな地震に遭遇したということですので、そういった強烈な物理的環境刺激に対する不安や恐怖が一種の恐怖反応として始終鳴き続けるといった行動を引き起こした可能性は高いでしょうね。今回、お宅の猫ちゃんが震度５強の地震に先立って人間が体感できないような微小な予震を感知していたり、人間にはわからない何らかの予兆を感じていた可能性は否定できず、過去の地震の際にも同様の体験をしていたとすればその再来に強い恐怖心を抱いたとしても不思議はないでしょう。
なお、恐怖反応は通常、心拍数の増加（ドキドキ）、呼吸数の増加（ハアハア）、筋肉振戦（ブルブル）、排便排尿（おもらし）といった生理的反応を伴う不安げな表情や仕草（尾を股の間に挟み込む、毛を逆立てる、耳を伏せる等々）などの体のサインとして現れます。同時に犬や猫の多くは恐怖刺激に対して回避や逃走、攻撃などを試みますが、地震の場合のように恐怖の対象が定かではないと回避しようもなく、家の中で逃げ出すこともできなければただウロウロしたり鳴き叫ぶということはよく見られます。あまりにも恐怖が強いと中にはフリージングや不動反応（固まる）を示すものもいます。お宅の猫ちゃんのように痙攣を起こすようなケースは神経内分泌系の感受性が異常に高いのでしょう。
恐怖反応の大半は適応反応ですので不安や恐怖の原因となる刺激に長時間曝されたり、それに繰り返し曝されることで学習され、次第に弱まったり消失するのが一般的です。そうならない場合であってもさほど深刻な事態を招くまでには至りません。それが何度繰り返されても消失しないばかりか逆に反応が強まったり、関連する出来事やその記憶だけでも反応が起こるような場合は、心的外傷（トラウマ）などにより恐怖症にまで進行している可能性があります。これはパニック障害と同様に発作的で深刻な恐怖症反応を引き起こす明らかな精神障害であって立派な病気です。そんな心配はないとは思いますが、念のため今後の経過を注意深く観察なさって下さい。
★★相談内容★★
こんばんは！お忙しい中、貴重なお話を本当にありがとうございます。地震が起こる前に比べてだいぶ落ち着きを取り戻した感じです。日中はソファーに一番仲良しの××（４歳）に寄り添って寝ていますし、食欲もあるのでしばらく静かに見守ってあげようと思っています。体に感じる余震が無いのが猫達には安らげるようですが、まだまだ油断はできないので人間はとても音などに敏感です。この度は大変お世話になりありがとうございました。
