こんばんは。現在、9歳の三毛猫と、2歳のキジトラを飼っております。今日は三毛猫の過剰グルーミングについてのご相談です。約5年前位からだと思うのですが、お腹がポカンとハゲているな、と感じ、最初は10円玉程の大きさから、今ではお腹全体、前足の後ろ、後ろ足全体と、毛が全くなくなってしまいました。
ブツブツなどがあるわけでもないので、不思議に思い、知識があまりなかったので、動物病院に何件か相談に回りました。皆さん仰るのは、何かのストレスではないかとの事。或いは、何か、アレルギーがあって、私たちの普段何気なく使っているものが原因かもしれないなども言われました。猫アトピーなども考えられたので、痒み止めの注射もしてみました。すると、しばらくは舐めなくなりましたが、注射の効力げ切れ出す頃、また舐め出すという感じです。大学病院にも赴きましたが、皮膚の検査や、血液検査も異常なし。やはり、ストレスではないかとの事でした。
我が家は毎日、仕事で午前中はまるまる留守にしています。出勤の時に玄関についてくるので、寂しさからなのだろうかとも思い、新たに猫をもう一匹飼い出しましたが、仲は最悪で、三毛猫はキジトラを、受け入れてはくれません。当たり障りのない程度にスキンシップもはかってみたり、エサなどもアレルギー対応のものに変えたりしましたが、変化は全くなく、、、トイレもキレイに心掛けたり、ストレス解消になるような、猫専用のアロマ?のようなものや、サプリメントも試しました。何の効果もありませんでした。保護服も試しましたが、翌朝には、自分で脱いでしまいます。
三毛猫は、そもそも捨て猫で、我が家に一匹迷い込んで来たのを保護し、飼い始めました。避妊手術もまだ幼い時、一歳未満の時にしました。3.4歳くらいまでは、何事もなく、過ごしておりました。舐め始めたきっかけを色々考えてみるのですが、全く思い当たるようなことがない、、と言いますか、わからないのです。性格は、本当に繊細な子で、あまり、人に擦り寄る事はなく、クールな性格でもあります。 相手にしてほしいのか、相手にしないと、いきなり、噛み付く事もあります。ただ、とても可愛く大事な家族の一員である事に変わりありません。何とか過剰グルーミングを止めたい、でも、グルーミングをする事で、精神的にバランスを取っているのであれば、それもどうなのかな?と、色々考えています。何か、良いアドバイスがございましたら、何卒よろしくお願いします。
お宅の猫ちゃんにみられる過剰グルーミングのような頻発的かつ反復性のある、一見無目的で不合理なステレオタイプの行動を常同行動と言いますが、通常その多くは比較的一定した一連の動作であり本来は正常な生活行動に由来するものです。
しかしそれが何らかの原因により度を超えてエスカレートし、体に自己障害性の損傷などを引き起こすほどの事態にまで至るようになると問題行動として位置づけられることになります。
今回のケースも、このままいくとザラザラの舌で体を執拗に舐め続けることにより、現在の広範囲の脱毛に加えさらに皮膚が炎症を起こすまでに症状が悪化する恐れがあります。
そういった度を超えた常同行動の背景にはしばしば不安、恐怖、退屈、欲求不満といった心理的なストレスをはじめ、アレルギーや知覚過敏症候群といった身体的なストレスなどが関与している場合があり、それが引金となって常同行動が発現するのではないかと考えられています。
ただしその場合でも実際には単純な原因によるものは稀で、常同行動の発現には多くの原因が複雑に絡み合いそれを特定することは容易ではないため、猫の問題行動の中では診断と治療が最も難しい分野ということが言えます。
然しながらお宅の猫ちゃんの場合は、これまでの経緯からは思い当たるような心因性や内因性のストレスもなく、アレルギーのような外因性のストレスもほぼ否定されていることから、別の可能性としてノイローゼの一種である強迫性障害(旧強迫神経症)があるかもしれません。
これは正常な生活行動の延長線上にある常同行動とは異なる遺伝的要素の関与する常同症という心の病気です。最近の研究で背景として脳の機能変調の存在が示唆されており、行動療法による行動修正の効果もあまり期待できないため、その場合には生涯にわたって抗うつ薬などの向精神薬の投与を継続する必要があります。
まずは一定期間当該薬を服用してみて効果の有無を確認した上で、この病気かどうかを判断するという診断的治療という方法もありますので参考になさってください。
なお一点気になったのが、痒み止めの注射をした後でしばらくは過剰グルーミングが見られなかったという件。これは痒みが行動の引金になっていた可能性を示唆しています。原因不明の猫の知覚過敏の多くに皮膚掻痒症が見られますので、それである可能性も否定できませんね。背中の皮膚が突然プルプルするような症状がよく見られようですと疑いが深まります。
ありがとうございます。大変参考になりました。生まれつき、大変繊細な子です。今はまだ、毛が無くなってはいるものの、皮膚炎にはなっていない状態です。ですが、一生、この状態でも、可愛い事には変わりないので、状態を見ながら、かかりつけの獣医さんと相談しながら、見守りたいと思います。正直ここまで、深く説明して頂いたのは初めてでしたので、とても嬉しかったです。ありがとうございました!