No.35：マーキング箇所を掃除すると攻撃される
★★相談内容★★
停留睾丸のロシアンブルー１歳半を飼っており半年前ほどに開腹手術で去勢をしましたが、玉が一つしか見つからず片方しか取れなかったようです。
現在、マーキングがひどくなり、部屋中でおしっこをしてしまう状態で、おしっこを片付けるとものすごく怒って激しく威嚇して攻撃してくるようになりました。医者に相談すると、去勢をちゃんとしないとおさまらないとのことでもまた開腹して玉を探すのは医者はやりたくなさそうでした
ＣＴを取って玉の場所を特定することをすすめられましたが、高額で、それでも場所がわかるかわからないとのこと。どうするのが一番良いのかご意見いただけると幸いです。
★★助言内容★★
停留睾丸であっても雄性ホルモンは分泌されますので、その一つが腹腔内に残っていることで性行動である尿スプレーなどのマーキング行動が見られるのはわかりますが、おしっこを片付けるとものすごく怒って激しく威嚇して攻撃してくるようになったというのは停留睾丸の問題とはおよそ無関係だと思います。
ただし、これだけではその攻撃行動の原因が何であるかを推定するのはかなり難しいです。なお残った停留睾丸はどうするのが一番良いのかといった点については、専門外のため意見は差し控えさせていただきます。
★★相談内容★★
お返事どうもありがとうございますもともと気性の荒い猫でよく噛み付いてきましたが威嚇までいくようになったのは最近で冬になってから部屋中におしっこをするようになりそれを掃除するときに、こら！！など言って怒ったり軽くペシっと叩いたりしたのが原因なのかもしれません。
現在掃除しなくても少しの動作で威嚇するようになってしまい恐怖でケージに入れています。威嚇は治りましたが激しく鳴いています。このままケージに入れ続けるのはやはり良くないでしょうか？よろしくお願い致します。
★★助言内容★★
推定のさらに推定になりますがひとつの可能性として、あなたに対する猫さんの攻撃行動は恐怖や怒りなどが原因で起きているということも考えられます。ただしその場合は猫さんの中で過去にそういった情動とあなたとが結びついてしまうような、何らかのアクシデントのようなものが存在しないと説明がつきません。すなわち、猫さんにはこれまでに強い恐怖を感じたり怒りを覚えたことがあり、その場にたまたまあなたが居合わせたというようなケースです。そういった心当たりがなければ、これは否定的です。
それよりは可能性が高いのが縄張り性攻撃行動です。今回の猫さんの場合、年齢的に見れば性的成熟期を迎えたところであり、マーキング行動が頻繁に見られようになっていることからも疑いは深まります。この場合、縄張り意識が強まっている猫では他の動物や人間に対しても侵入者扱いし、とくにマーキング場所に近づく者は挑戦者とみなされて威嚇されたり攻撃される機会が増えます。
なお、縄張り性攻撃行動の場合は本来が社会的要素である正常な行動であり、それにマーキング要素が絡むと非常に厄介な問題となります。それと診断されれば治療は不可欠で、環境修正や行動修正に加え、攻撃行動が激しい場合は薬物治療が必要になる場合もあります。
そのほかにも攻撃行動のカテゴリー中には飼主に対して向けられたものは数多くありますが、いずれも可能性は低いでしょう。それとケージの件ですが、あくまでも緊急避難的措置とお考えください。もちろん行動治療を行う際にやむを得ず一時的に利用するような場合もありますが、入院して病室に収容されているようなものです。猫さんを一生拘禁や監禁状態にしておきたくはないですよね。
