猫の問題行動に関する相談事例

No.39：立ち上がって何かしようとすると攻撃されます

★★相談内容★★

お世話になります。転嫁行動をいろいろ調べていてたどり着きました。昨日の夕方から猫が凶暴化し、困っています。アビシニアンのメスで８歳９ヶ月です。

昨夜から急に、唸りながら本気の猫パンチなどで襲ってきます。昨夜は少しでも、動くと唸る、シャー！ギャァー！と威嚇され起きている間は常に監視されている状態です。動かないことが、お互いに取って平穏なので、ひとまず寝ることにしました。電気を消してベッドに入るといつものように布団上に乗って一緒に寝ました。寝ている状態で触っても唸ったりはしませんが、甘える状態ではなかったです。

朝起きて、朝ごはんを食べているときはもとにもどったのかなという感じでしたが、私が立ち上がって行動し始めると、威嚇、追いかけての攻撃が始まります。一人暮らしのワンルームの部屋のため、隔離できないので半日外出して、帰宅したところ、お腹が空いていたらしく、ニャーンと催促され、与えたのですが、食後、私が立ち上がって行動していると威嚇と、攻撃が始まります。

また、いつもなら外部の音に反応しても毛を逆立てることはないのですが、外部の音にもいつも以上に反応しています。転嫁行動について無知な事もあり、１番始めに攻撃されたとき、大声で怒ってしまったことも関係してるのかなと猛省しております。また、来週末に引っ越しを控えているため、室内でゴソゴソとすることも多くそれも原因の一部かなと考えております。

ひとまず、引っ越し作業はせず、あまり立ち上がらないようにして過ごしています。引っ越し作業のために、動物病院へ預けることも考えております。「立って、歩く」という行為が、１番引き金らしく、何もできません。アドバイス宜しくお願い致します。

★★助言内容★★

今回の攻撃行動についてそれを転嫁行動であると考えておられようですが、本来転嫁性攻撃行動というのは、予見できないなんらかの原因により突然ビックリさせられたり、激しい恐怖や怒りに見舞われるなどして高揚状態に陥った猫が、自分をそうさせたものに反撃しようにも対象が見つからなかったり反撃したくてもできないような場合に、たまたま近くにいた別の無関係な猫や人間などに故意にではなくその矛先を向けてしまうものです。

それを踏まえて見た時に、今回猫さんが突然凶暴化する直前あるいは直近に何か猫さんをひどく驚かせるような出来事などがなかったのかどうか、もしそういうようなことがなかったとすれば今回の突然の凶暴化の原因は転嫁性攻撃行動とは考えにくいと思います。

その場合、猫さんの凶暴化の原因はほかにあるということになりますがそれを探る上での重要な鍵となるのが、過去にそういった出来事があってその際に今回と同じような攻撃行動があなたに対して向けられたことがなかったかどうかということです。

実際にそれがあったならば現在の猫さんの一連の行動は、その過去の出来事の際に猫さんを見舞った恐怖などとその場に居合わせたあなたとが猫さんの中で結びついてしまったことで起きている可能性もあります。それは条件づけといって、あなたの存在が刺激となり毎回顔を合わせたりする都度それに無意識のうちに反応して恐怖感などが生じそれが攻撃行動に繋がってしまうというものです。

ただし、猫さんの行動は終始攻撃的なわけではなくむしろ主体性があり、あなたの動きを監視しながらその特定の動きに応じて威嚇や攻撃を仕掛けてくるといった、そこには多分に意図的なものが感じられます。これは自らがある社会状況を作り出すことで飼主を操ろうという自己主張の強い猫に多く見られパターンであり、そういった猫にはしばしば地位関連性あるいは自己主張性攻撃行動が見られることから、今回のケースではその疑いが強まります。

なお、上述したいずれの攻撃行動も転嫁性攻撃行動のような猫の高揚が鎮まれば終息する一過性の行動とはまったく要素の異なる攻撃行動であり、今回のように問題が表面化した時点で適切な行動修正を行わないと多くは事態が悪化しますので、早めに専門医を受診されることをお勧めします。