初めまして。6歳未去勢のキジトラの雄猫の凶暴化について、ご相談させていただきたいと思います。猫が生後2ヶ月程の頃拾い、1歳頃に去勢しようと予定していましたが、その頃から失神の発作がたまにでるようになり、原因も分からず、麻酔はリスクがあるとのことで今に至るまで去勢はできていません。去年あたりから少し発情期のような行動をすることがあり、この9月からはスプレーや大声で鳴く等、猫自身もストレスがありそうな状態です。
9月末頃のことですが、トイレではない場所でおしっこをしてしまい、それを片付けている時に、ものすごい勢いで噛みついてきて、どう引き剥がそうとしても唸りながらかじりついたまま離れず、とても怖い思いをしました。片付ける時にとくに猫を叱ることはしていません。その時はなんとか一室に隔離して、半日程したら落ち着きましたが、それ以来、トイレを片付けると、いつもではありませんが噛みつこうとするようになりました。
そして今日、猫が嘔吐してしまったのでそれを片付けていると、またひどく噛みつかれてしまい、私が何か片付けることに対してなぜ攻撃、凶暴化するのか、分からず不安な毎日です。元々神経質なところがあり、インターホンの音がすると噛みついたりすることはありましたが、発情期が始まった去年より以前は、甘えん坊で、酷い噛みつきはありませんでした。
この発情期が終われば収まることなのか、それとも関係なく他の原因で噛みついてきているのでしょうか。9月末に噛まれた時は仕事も休まなければならないほど酷かったのと、猫もイライラしていてかわいそうなので、これ以上凶暴化が進む前に何とかしたいとおもっています。
あくまでも尿石症をはじめ下部泌尿器症候群などの身体的疾患がないということを前提とする限りでは、今回の猫さんのトイレ以外での不適切排尿行動については、最近になって見られるようになった過剰発声を伴うスプレー行動を含めて自らをアピールするためのマーキング行動である可能性が極めて高いと思われます。
すなわち猫さんは未去勢ということなので、仮に最近になって戸外から漂ってきた発情したメス猫のフェロモンの匂いを感知したり声を聞いたりする機会があったりすれば、それによって性的に興奮した猫さんがスプレーや非スプレー的不適切排尿などの一連の行動により、尿を介して生活圏内に自らの匂いづけをすることでその存在をアピールしようとしているかも知れないという訳です。
そのような性的刺激によってマーキング行動が誘発された猫では同時にその縄張り意識も高まっているのが常であり、その結果とりわけ縄張りを強く主張する場所には執拗にマーキングするようになります。さらにはそのような場所に近づく者に対して殊更攻撃的になることがあり、その場合同居の猫や飼主がその攻撃対象になってしまうというようなことも起こり得ます。
今回のケースの場合も多分にそのような要因が示唆されますが、ただしマーキングとは無関係な普段から使っているトイレで猫さんがいつも通りに排尿後にその片付けをしただけで攻撃されるようになったということになるとそれでは説明がつきません。吐物を片付けた際の攻撃も然りです。
その場合は、何らかの原因であなたの特定の行動が刺激となりそれに猫さんが反応して攻撃行動を引き起こすよう条件づけられてしまっているのか、それともさらにほかの原因が存在するのか残念ながらこの情報だけではそこまでは推測できません。
なお、上述したような原因によるものであれば猫さんを性的興奮させないために去勢手術を行なったりとりあえずメス猫の発情期が終わるのを待つという方法もありますが、一旦縄張り意識が高まって攻撃行動を伴うようなマーキング行動が常態化してしまうと、それを猫さんが学習してしまうため改めて再学習による行動修正を行わないと解決できない可能性が高いです。
いずれにせよ、この問題を改善するためにはあなたと猫さんの交流の仕方などの日常関係やその生活環境など背景となるものすべてについて詳細な問診を行ない、攻撃行動の真の原因を明らかにしたうえで適切な行動治療を行う必要があります。そのためには別途カウンセリングが必要になりますのでご検討ください。