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猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.66:同居する雄猫同士のライバル闘争。


★★相談内容★★

2匹の雄猫を飼っています。その2匹の仲がとても悪く、喧嘩が酷くて困っています。猫は初めてでわからないことだらけです。3年前に、家の隣に捨てられている2匹を保護しました。おそらく兄弟です。2ヶ月から3ヶ月位の子猫でした。家族も動物好きで飼うことを決めました。白い猫を◯◯、茶色い柄の猫を××と名付けました。初めはとても仲良く遊んでいたのですが、1年前に発情期が始まって以来とても仲が悪くなりました。初めは威嚇し合う程度でしたがどんどんエスカレートしていき、今では2匹一緒に出せません。顔を合わせればすぐに◯◯がとびかかって喧嘩を始めます。毛が飛び散る位の喧嘩で、止めなければやめてくれません。怪我ももちろんして、首を酷く噛むので殺してしまいそうな程です。なんどか××は足を腫らして病院に連れて行っています。××が◯◯に一方的に襲われます。××は怯えてしまって◯◯に近づかなくなりました。

ケージ飼いになってしまって、ストレスがたまっているのだと思います。飼い主失格と思います。ケージ飼いはなるべくせず、自由に過ごさせてあげたいです。でも2匹出すと酷く喧嘩して出せません。それに去勢もまだ出来ていないので外に出すのも少しの間です。とても苦しい生活をさせていると思います。出来ることなら家の中に入れてあげて、2匹とも快適に暮らせるようにしたいです。◯◯は××だけでなく家族も噛みます。母は一度腕が腫れて入院しました。2匹の仲が悪いということもあるのですが、◯◯の問題が大きいです。正直とても怖いです。私の腕も引っかき傷と噛み跡でボロボロになっています。猫に対して申し訳なくなり猫を見ると涙が出てきます。◯◯を保護団体に預けた方がいいのか、と本気で悩んだ時期もあります。私では幸せに出来ないのかな、と思うと苦しくて仕方ありません。それでも2匹はもう家族です。引き離すことはできるだけしたくありません。どうしたらいいのかわかりません。私はまだ高校生であまりにも無力です。してあげられることが少ないです。収入もありません。車もまだ運転できず、去勢手術をしようにも病院に連れていけません。出来るだけ早く手術をしてあげたいです。

あまりにもひどい話だと思います。こんな相談をしてしまってすみません。無責任すぎました。可愛いからという気持ちだけでは飼えないことは分かっていたはずなのにこうなってしまい、本当に2匹に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。最近2匹ストレスのことを考え、出来るだけ長く自由な時間を作るよう努力しています。1匹を外に出している時はもう1匹を家の中にいれるようにして、出来るだけケージに入れないようにしています。それでも顔を合わせれば喧嘩をするので目が離せません。今は私が夏休み中で家にいるのでどうにかなるのですが、平日は家にいるのが猫の苦手な祖母なので心配です。私の望みは、猫を幸せにすることです。今二匹は幸せとは言い難いです。辛いと思います。どうにか猫と一緒に暮らしていきたいです。無理そうなら、猫の幸せのためなら、保護団体に預ける覚悟もしています。改善できるよう頑張ります。猫のために尽力します。前のような仲のいい姿を見たいです。アドバイスをください。猫を幸せにしたいです。



★★助言内容★★

二匹とも3歳になる未去勢の雄猫であるという状況から考えると、今回のケースは雄猫同士のライバル闘争である可能性が高いと思われます。その誘因としては、ともに春機発動期を迎えたことで性的衝動が高まっていることが第一に挙げられますが、加えてその欲求が満たされないがためのストレスが背景となっている可能性も否定できません。

すなわちストレスにより神経が高ぶっている状況では、お互いのちょっとした動きにもそれが刺激となって過剰に反応してしまい、闘争行動に火がついてしまっている可能性があるということです。それとは別にあなたやご家族への攻撃行動は、猫さん同士の闘争を止めようとしたために蒙った転嫁性攻撃行動でしょうが、これは両者の間に割って入らずともその側に居合わせただけで無差別に攻撃されるので非常に危険です。

なお、闘争が始まってすでに1年ほど経過しているようですが、最初の頃であれば比較的簡単な方法で関係修復できたかも知れませんが、ここまで関係がこじれてしまうと、その修復には綿密な実行プログラムに基づいた行動修正が不可欠です。

それと去勢の可否についてですが、一般に去勢にはライバル闘争における攻撃行動自体を弱める効果はありませんが、それを引き起こす状況に対する刺激閾値を高めることができるため、ちょっとのことでは攻撃行動を引き起こさなくなります。その意味ではライバル闘争における攻撃行動への抑止効果は十分に期待できます。

したがって、雄猫同士のライバル闘争が原因での攻撃行動を改善したいと考えるのであれば、去勢は多くの場合に第一選択肢となり得る対応策のひとつと言えますので、今回のケースでも問題解決にあたっての極めて重要な鍵となります。

なお、雄猫のライバル闘争ではいきなり飛びかかって攻撃したりはせず、はじめは双方が威嚇し合ったり猫パンチの応酬をするなどの儀式的行為が先行し、それによって最悪の事態を回避できる場合もあります。飛びついて相手の首筋に咬みつくのは最終的な攻撃手段となる行為であり、今回の攻撃が始めからそのようなパターンで行われているのであれば事態は極めて深刻で、放置することはもとよりこれ以上それを繰り返させることは避けなければいけません。

いずれにせよ、猫さん達をこのまま責任を持って飼い続けたいということであれば、ケージ飼いを含め両者を完全隔離して生涯接触させない飼育環境を用意するか、去勢手術を含め両者に対する行動修正のための専門治療を施してあげるしか残念ながら方法はありません。