はじめまして。突然凶暴化した猫について悩んでいます(マンチカン、オス、4歳11ヶ月、去勢済み)。1年以上前から膀胱炎で通院していますが、完治せず輸液をしています。7月末に私が庭掃除から自宅に入った途端に猫が今まで見たことないぐらいの威嚇と唸り声を発してきました。その時は洋服に野良猫の匂いなどが付いていたのかと思いすぐにお風呂に入り着替えました。その後は普段通りでした。
ただ警戒しているのか、今まで以上に匂いを嗅いでいました。1週間後、私が電話をしている時に大声を出してしまい猫が驚いて近くに寄ってきました。その後何日か経って娘とテレビを見ていて騒いでしまったらその途端にいきなり唸り声と威嚇をして私に向かって攻撃してきました。私も驚いて叫んでしまいましたが、足首を噛まれて血だらけになり娘が仲裁に入りリビングに隔離しました。
少し時間を置いて娘が寝室に誘導して1日はその部屋にいてもらい、次の日に娘にも威嚇はしますが攻撃はしてこない為、かかりつけの動物病院に行きました。病院でも今まで見たことがないぐらい暴れて先生にも攻撃していました。先生からは落ち着くまでケージの中で生活させるようにと言われ、2日間はケージの中で生活していました。だいぶ落ち着いたのでケージから出し寝室で自由に動けるようにし、娘がご飯やトイレの掃除をして少しだけ私も猫と接していました。
数日後娘と一緒に猫と接していると最初は甘えて喉を鳴らしてすり寄ってきましたが、いきなり私に飛びかかってきて攻撃されそうになったのですぐに部屋から出ました。娘が仲裁に入ったのですが威嚇がすごく娘も部屋から出て落ち着かせる為にしばらく関わらないようにしていました。ご飯の時も娘に威嚇するので部屋に入れず扉の隙間からご飯をあげていました。
次の日に私と娘で動物病院に行きそのことを相談したら行動療法を勧められたので予約をしたのですが受診まで1ヶ月以上もあることから精神安定剤を処方してくださいました。その薬は1ヶ月ぐらい様子をみないと効かないみたいです。その後だいぶ落ち着いてきて最初は娘にも威嚇していましたが現在はいつもの猫になっています(私はその後接していません)。
部屋から出たいのか鳴いたりしているので、このままずっと部屋に隔離していて良いのか。今まで通り自由にいろんな場所に行かせてあげたほうが良いのか。いろいろなご意見をお聞きしたく相談させて頂きました。長文になってしまい申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
状況からみて転嫁性攻撃行動の可能性が濃厚ですね。おっしゃる通りあなたに付着していた野良猫の匂いなどに猫さんが反応し、自分の縄張り内に突然侵入されたと勘違いして一気に攻撃的な情動が生じたものの、その攻撃すべき張本人が見当たらないため、その怒りの矛先が八つ当たり的にあなたに向けられてしまったという訳です。
そのような転嫁性攻撃行動の場合、最初に猫さんを興奮させ攻撃的な情動反応を生じさせた原因を取り除き、猫さんに対してもしばらくは無用な刺激を与えないよう注意深く接するようにすることで、当初の高揚状態が完全に収まれば自ずと攻撃行動も終息するのが普通です。
しかし、その間僅かでも猫さんの興奮が残っている状態で要らぬ刺激を与えてしまうと、それに反応して一気に最初のレベルの興奮状態に逆戻りしてしまう恐れがあります。その場合は当初の転嫁性攻撃行動が継続している状態なので、あなたと猫さんの間に割って入った娘さんがとばっちりを受けるなど、側にいるものが誰彼問わずその攻撃の対象となってしまいます。それが転嫁性攻撃行動の特徴でもあります。
それを避けるためには、猫さんの興奮が完全に収まるまではケージや別室などに隔離し、威嚇行動などが見られなくなるまではあなたやご家族との交流を一切断つ必要があります。その間猫さんへの刺激となるため声をかけたり顔を見たり体に触れるといったことはせず、給餌やトイレ掃除などは機械的に済ませます。この隔離期間中に猫さんの気持ちを穏やかにしておくため、今回処方されたような向精神薬を服用させることも有用です。
なお、当初の興奮が続いている間に同じ相手への攻撃行動が何度も繰り返されると、往々にしてその特定の相手の存在が刺激となり、それに反応して反射的に攻撃行動を示すようになる感作という状況に陥ることがあり、一旦それが起きてしまうと脱感作療法といった行動治療が不可欠となります。
そういったことも含め、改めて専門医の診断を仰いだうえで今後の対応についてご相談ください。
お忙しい中ご連絡ありがとうございます。受診までの1ケ月間鳴いても私達は反応せず、部屋に隔離しておいた方が良いのでしょうか?猫の「閉じこめられている」というストレスはないでしょうか?何度もご相談申し訳ありません。大切な家族である猫と以前のように楽しく生活したいと思っています。よろしくお願い致します。
猫の攻撃行動においては、原因は何であれそれが何度も繰り返されるような状況だけは絶対に回避しなければいけません。その理由としては先に述べたような感作の問題もさることながら、攻撃された相手が恐怖のため怯んだり服従することを学習した猫が、その効果に自信を深めて攻撃行動を更に強化してしまう恐れがあるからです。もちろん隔離されることにより猫さんには相応のストレスが生ずることは否定できませんが、それはあくまでも行動治療中に限った一時的なものです。
それに対して上述したようなリスクを放置した場合には、それとは比較にならないほどの深刻な事態を招きかねませんのでその点ご留意ください。もっとも向精神薬を補助的に服用していれば、隔離に伴う不安などのストレスの問題はほぼ解消できますのでご参考までに。