病院ロゴ
病院ロゴ
猫アニメ

猫の問題行動に関する相談事例


No.88:家族の中で威嚇されるのはわたし一人だけ


★★相談内容★★

初めてメールします。5歳の雌猫を飼っています。夫と夫の両親と住んでいます。1年ほど前から、私だけ威嚇されます。何かした覚えもないのですが、車から降ろそうとした時に、急に威嚇し始め、最近は、家の中でも、猫の後ろを歩いただけで、後ろをふり向いて威嚇したりします。爪も切らせてくれなくなりました。夫は大丈夫です。

2年くらい前に脱走して、怪我をしてきたことがあるのですが、その後から、少し怒りっぽくなったような気もしますが、よくわかりません。私の事が怖くて怒るのか、嫌いなのか?威嚇されるととても悲しくなります。何かアドバイスがあれば、よろしくお願いします。



★★助言内容★★

猫さんがあなたを最初に威嚇したのが車から降ろそうとした時ということですが、具体的にどのようなシチュエーションだったのかその詳細が全くわかりませんので原因を探る糸口になるものが掴めません。

実際にはまだ威嚇だけで攻撃されてはいないようですが、状況からみて対応を誤ると今後そうなってしまうリスクは極めて高いと考えるべきでしょう。その場合、今回のように家族の中で特定の者だけがその攻撃の対象となってしまうことはよくあり、幾つかの異なるタイプの攻撃行動においてそういったケースが見受けられますが、そのタイプを推定するには上述した最初の威嚇行動のきっかけはもとより、あなたをはじめ各人の猫さんとの日頃の関わり方などがわからないと難しいですね。

当然それを推定できないと、猫さんのあなたへの威嚇が恐怖によるものなのかそれとも怒りや嫌悪からくるものかもわかりません。そのように原因が明らかではない状況で、的外れの誤った対応をしてしまうと逆効果となり事態の悪化を招きかねませんので十分な注意が必要ですが、とりあえずどのようなタイプであっても共通してやらなければならないことがあります。

それは、行動を予測できる場合には可能な限り猫さんに威嚇や攻撃されるような機会を避けるようにすることと、予測できずに威嚇や攻撃されてしまった時には即座にその場から退避し当面猫さんには接触しないということです。猫さんの威嚇行動はあなたが何らかの刺激となって起きてしまう反応ですが、刺激が何度も繰り返されるとその反応が徐々に増大してゆく感作という学習プロセスにより、威嚇行動は一層激しさを増すことになるため極力そういった事態を回避しなければいけません。

すなわち、猫さんに威嚇という反応を起こさせないことはもとよりそれが起きてしまった時には、それ以上の刺激を与えないようしばらくの間猫さんとは交流を絶ち一切干渉しないようにする必要があります。それとは別に、完全にリラックスした状態で威嚇する様子が皆無であるような時を見計らって好物のおやつを与えたりすることを頻繁に繰り返す(威嚇している時に与えると逆効果なので注意)ことで、あなたに対する反応を威嚇とは真逆の望ましいものに変えて行くようにして様子を見てみては如何ですか。それで効果が見られないようであれば正式な行動診療の受診をご検討ください。