飼いはじめて5年になるマンチカンの女の子についてです。私が長男を妊娠した時に飼い始めたのですが、長男が産まれて1年が経った頃、猫の発情期の鳴き声が夜中酷くなってきたのもあり2歳の時に去勢手術をしました。病院に日中預けて夕方迎えに行き、家に帰ると、今まで見たことがないくらい怯えて震えていて、真っ暗な部屋の隅に隠れていってしまいました。近づくとシャーと警戒されたので、その日は一先ずそっとすることにしました。3日経ち、ようやく撫でさせてくれるようになったのですが、別の猫のように懐かなくなり手術をした病院に相談すると、恐怖症になったんでしょうと言われました。それから1か月に3〜4回パニックを起こすことがあり、その度に私が傷だらけになるようになりました。
最近わかったのですが、私のビックリした声や驚く声にパニックを起こすようで、その度に攻撃されます。大きい音にもパニックを起こすので攻撃は旦那にも時々いきます。今は1か月に1〜2回くらいになったのですが、先週から立て続けにあって、傷だらけになった自分の手足を見ると、どーすればいいのかわからず涙が出てきます。もちろん一緒にいたいのですが、私の声が猫にとってストレスなのかなとか、私の事が嫌いなのかなとかマイナスな気持ちになってしまい、どうしたらいいのかわかりません。子供にもたまにですが攻撃することもあり、それについても責任を感じます…
治療と言う方法があるのならと思いメールしました。長文で申し訳ございません。因みにお世話は私がしています。2年ほど前から、ごはんの時間など私に対しての鳴き方が上からな気がします…。仕事から帰ってくるとお出迎えやスリスリはしてくれます。アドバイスなどいただけたら幸いです。よろしくお願いします。
猫さんが避妊手術を終えて帰宅した際に見られた飼い主さんに対する威嚇行動は、動物病院でトラウマ的な恐怖経験をしたことによりもたらされた行動反応でしょう。そのような体験をしたあとには往々にして今回の猫さんのように、ほかの刺激に対しても過敏に反応したり攻撃的になることは珍しいことではありません。
ただし、そのような一連の恐怖反応は多くは適応的で一過性の正常な行動です。それがどの位続くのかは猫の気質や刺激に対する感受性の違いなどによる個体差がありますが、長くても概ね数日と言ったところで普通はいつまでも尾を引いて生活に支障をきたすような事態にはなりません。
しかしながら今回の猫さんのケースはそれとは異なり、一見動物病院で怖い思いをした直後の状態が何ヶ月も続いていてその間に度々猫さんがパニックを起こし、その都度飼い主さんへの攻撃行動を繰り返しているように見えますが、そうであるならばそれはもはや一般的な恐怖反応のような正常な行動とは言えない病的なものであり、日常生活にも明らかに支障をきたす恐怖症性障害のような心の病気が疑われることになります。
とは言っても、今回動物病院での恐怖経験により余程ひどいトラウマになってしまっていたり、猫さんの攻撃に対し飼い主さんが激しい体罰を加えるなどして恐怖反応が著しく強化されてしまったというようなことでもなければ、猫さんがそのような恐怖症性障害に陥ることはまず考えにくいでしょう。更には相談内容にある攻撃行動以外の猫さんの行動が、恐怖症性障害の徴候とは相容れないことから見てもそれは否定的な気がします。
その場合は、動物病院から帰った直後から数日間の猫さんの行動に限っては恐怖反応が関与したものであるとしても、その後に見られる飼い主さんへの攻撃行動はそれとは別の原因によるものであるということになります。それを探るためには攻撃行動の誘因となっている刺激が何であるかを知ることが重要な鍵となりますが、それが飼い主さんとは無関係なものであれば転嫁性攻撃行動などが疑われ、飼い主さんそのものに直接反応して起きているのであれば双方の序列や力関係が関与している優位性攻撃行動などが疑われることになります。
最終的にそれを特定できれば適切な行動治療を行うことで行動修正が可能となりますが、それには詳細な問診に基づいたカウンセリングが必要になりますので、治療を望んでおられるのであれば受診をご検討ください。