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診療対象となる猫達とその行動




どうにも手に負えず、困り果てるしかないうちの子の厄介極まりない行動。これって何かのサイン?


そんな飼主の方達の嘆きの対象となっている猫達の行動の中から、日常的にみて出現頻度の高い代表的なものをいくつか挙げてみました。これだけを見ている限りでは、猫達の行動としてはさほど特異なものではありませんが…..。


  • 飼主やその家族、同居している猫などを威嚇し攻撃する。
  • 何かに怯えて押入れの奥などに引きこもり出てこない。
  • トイレがあるのに他の場所でおしっこやうんこをする。
  • 意味もなく大声で鳴きながら家中をウロウロ動き回る。
  • 家中の柱や壁、家具など所構わずに爪とぎしまくる。
  • 布や紙製品、レジ袋などの異物を齧って食べてしまう。

  • こういった猫達の行動が専ら当院の診療対象となるのは、その不都合さやそれがもたらす深刻さの度合いが一緒に生活している人間の許容限度を超えた時であり、大概はそこで初めて問題行動として位置付けられることになります。


    ですが、人間の側の不都合の度合いがさほどではないため問題行動として認識されていなくても、猫の側ではすでに深刻な事態に陥っているケースもあります。行動の変化として現れる猫達の救援要請のサインを見落とさないでください。




    猫の問題行動における多様性




    猫の問題行動に行く前に知っておきたいこと。そもそも猫って一体どんな特性をもった動物なの?


    猫は本来、社会を作らずに単独生活をする動物でした。その野生の時代、巣穴を中心に一定範囲の生活圏内にテリトリーを確保してそこに生涯定住し、獲物を狩るのも子育てするのもすべてその生活圏の中だけで単独でおこなっていました。唯一育児中の母猫と子猫、その子猫同士の間においてのみ期間限定となる一時的な社会生活が見られます。


    その子孫であるイエネコも、祖先からの習性を受け継いでいます。そのため自分のテリトリーを離れて違った環境に身をさらすことは言うに及ばず、今いる環境に何らかの変化が生じただけでも心が大きく動揺するほど、環境との結びつきやそれへの依存性は非常に強いものがあります。


    それに比べると他者との結びつきは、繁殖期における雄猫との関係や育児期における母子の関係以外はさほど重要ではありません。生活圏内にあって自らの生存を脅かすような相手でなければ、その存在を容認することはあっても必要以上に関心を払うことはなく、そこでは飼主もある意味環境の一部といった位置づけなのかもしれません。


    イエネコが野生の時代にはなかった集団での生活ができるのは、お互い食物の取り合いで生存を脅かされることがないうえに、家畜化の過程で生じた幼形成熟的進化によってイエネコ自体が家畜特有の幼児性を有しており、成長後も子猫が持つ社会性が残るため。自立した大人の猫が飼主の方に甘えるなどの行動をとるのもそのためです。


    またそれとは別に、過密な集団生活に適応してきたことでイエネコに特有の複雑な社会性といったものが新たに生まれることになり、それがためにその社会的順位などが絡んだ地位をめぐっての猫間での自己主張が集団内での問題行動を生み出すことにも。


    そういう中で、とりわけ他者との関係を自らコントロールしたがる自己主張の強い猫の場合などは、本来は環境の一部である飼主の方に対してまでも自分の社会的地位を主張して無関心どころか逆にあからさまに干渉してくることもあります。


    現代社会においては都市化が進んだため、イエネコの多くが自由な行動が制限されストレスが生じ易い完全室内飼いの生活を余儀なくされています。しかも子猫の時のように終始干渉され続けながら。そんな箱入り娘状態の猫達はストレス耐性も低下しており、問題行動の出現リスクも高まります。



    ーーーということで、このような猫本来の特性をあらかじめ知っておいていただければ、この先猫の問題行動への理解がさらに一段と深まると思います。





    見た目は同じ問題行動であっても中身は多種多様。その原因が異なればそれぞれ対応の仕方も違ってくる。


    猫の問題行動とは、一言で言えば一緒に生活している人間にとって看過できない不都合な行動ということになるでしょう。なお一見異常と思えるそれらの行動の中には、猫からすれば程度の差はあっても正常な行動も含まれており、問題行動のすべてが異常行動というわけではありません。あくまでも人間の基準に照らしてみると異常というわけです。


    また問題行動はその成因によって二つのタイプに分けられますが、その一つは心理的要因による心の不具合から生ずるもので、もう一つは基礎疾患など身体的要因による体の不具合から生ずるものです。一般に前者の多くは器質的異常をともなわないとされてきましたが、近年では背景として脳の機能変調の存在なども示唆されています。


    なお心理的要因に由来する問題行動だけを見ても、何らかの原因で本来の本能行動や情動行動が異様に強まったケース。それらに予期せぬ情動反応が結びついたケース。さらには学習によって獲得した行動とが複雑に絡み合ったケースなど、それぞれ性格がまったく異なるため画一的な対応はできません。


    さらに神経症的疾患である人間のパニック障害や強迫性障害のように自律神経系が暴走状態に陥っているケースでは、放っておくと症状が悪化し行動がさらにエスカレートします。その際、猫の習性などへの無理解による誤った対応もそれに拍車をかけることになりますので細心の注意が必要です。


    下段に猫に見られる問題行動のタイプを、大まかなカテゴリーに分けて列挙してみました。このそれぞれのカテゴリーに含まれる問題行動の中に、さらに様々な異なる原因が包含されているわけです。


  • 攻撃性に関連した問題行動。
  • 排尿・排便に関連した問題行動。
  • 神経症的疾患に関連した問題行動。
  • 採食行動に関連した問題行動。
  • 尿マーキングに関連した問題行動。
  • 引っ掻き行動に関連した問題行動。
  • 徘徊行動に関連した問題行動。
  • 性行動に関連した問題行動。
  • 母性行動に関連した問題行動。



  • とりわけ深刻な猫の攻撃行動




    うちの猫がある日突然キレた!


    なぜかある日突然、穏やかだった性格が一変してまるで小さな猛獣と化した猫。飼主の方のみならず、時にはその家族や同居の猫などを激しく威嚇し攻撃するケースも。そんなうちの子の豹変ぶりを前にして恐怖のあまり何もできずに途方に暮れていませんか。





    それってもしかしたら心の病気かも。


    ほかにも日頃飼主の方が手を焼いたり、なす術もなくどこかに閉じ込めておくしかないような激しい猫の攻撃行動には、トラウマを生じさせるほどの突発的な出来事や強いストレスなどが原因で引き起こされた放ってはおけない心の病気が深く関与している場合があります。





    そういう時は放っておいたらばダメ。


    そういった本来なら治療を必要とする心の病気が疑われる問題行動を、そのまま放置しておいたり誤った対応をしてしまうと問題がさらにエスカレートし、事態はますます深刻の度を増してしまいますのでその点は特に注意が必要です。





    有効な治療法を色々選択できます。


    当院ではそれを受けて猫の心の病気や問題行動に特化した専門診療を行う動物病院として、それぞれのケース毎にその生活環境や飼主の方達の事情などを勘案した様々な行動療法や必要に応じて向精神薬などの薬物療法を用い、深刻な猫の攻撃行動の治療に取り組んでいます。





    多様な攻撃行動に対応しています。


    なお心の病気などが関与していなければ、猫の攻撃行動の多くは猫本来の習性に基づく正常な行動と言えますが、その程度によっては一つ間違うと飼主の方からすれば甚だ不都合な問題行動となってしまいます。当院では、それを再学習のプロセスを経てより望ましい行動へと変えていけるよう、できる限り飼い主の方の実情に合った形での行動修正プログラムを提案させていただきます。





    猫の攻撃行動ってこんなにあるんです。


    猫の攻撃行動は、攻勢的攻撃行動、守勢的攻撃行動、防護的攻撃行動という性格の異なる3つのカテゴリーに大別されますが、下段に列挙したのはそれとは別に個々の攻撃行動を臨床診断的に分類したものです。このいずれもが時として飼主の方達に、まさかの恐怖と被害をもたらすことがあるわけです。


  • 恐怖性の攻撃行動。
  • 疼痛性の攻撃行動。
  • 転嫁性の攻撃行動。
  • 遊びによる攻撃行動。
  • 母性による攻撃行動。
  • 捕食性の攻撃行動。
  • 猫同士の攻撃行動。
  • 縄張り性の攻撃行動。
  • 社会性欠如による攻撃行動。
  • 自己主張性の攻撃行動。
  • 特発性の攻撃行動。



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